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曳家について

 曳家とは、建物を解体することなく形を維持したままで、場所を移動させる作業のことです。よく「曳屋」という書き方もされていますが、本来はそれを行う業者が曳屋となるのであって、作業工種自体はあくまで曳家と呼称します。

 一般に、曳 家を行っている企業は江戸時代~戦前に創業した歴史のある企業が少なくなく(当社は新参者です。)、その努力の結果として工法も伝統的に確立しています。 ですから、危険性はそれなりに伴いますが、しっかりとした手順を追って作業できる限りは、特に問題となる部分は無くなっています。

 建築という業種の中で分類する場合は、大きな枠で鳶土工という分類に属しています。しかし、他の鳶土工工種と同じく近年は専門化が進んでおります。

 

 曳家という文字が示しているように、通例では基礎から建物を浮かせ、レール用に配置した材料の上を滑らせることで移動させます。

 当社の持っている鉄工所としてのノウハウは、この移動によって建物が崩れたり変形したりしないように施される、補強作業に置いて遺憾なく発揮されます。建築鉄骨を手がける以前に行っていた、造船や橋梁で身につけた技術が、作業の節々で冴えわたることもしばしば。

 具体的には、上の写真にある方法で、水平・垂直の移動を行います。

 補強の技術も極められれば出来ることの幅が広がります。天候・重量・作業立地について一定の条件さえ満たせば、通常の曳く工法では対応が難しい条件であっても、吊り込む方法で対処することが可能です。これによって工期や費用の短縮が図られることもあります。

 

 曳家という工法は、新築に比べて費用面・工期面で有利な反面、新築に比べれば担保価値が低く査定されるなどの不利な部分も伴います。それを補うために、補修・改修をセットで検討される方も少なくありません。

 全体として非常にクリティカルな計画となる場合も使える手法ですので、自分のライフプランをしっかり持ち、リスクとメリットを冷静に判断できる人には、是非とも検討をお奨めしたい工法の一つです。

参考リンク:日本曳家協会

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